参議院選挙を政治経済の先生的に考察 |
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2019年 07月 20日
全国の毒舌ファンの皆様 おはようございます。Tommyセンセです。 とういうことで、明日は投票日、有権者の皆さん投票に行きましょう(ただし、高校野球の応援が終わってからネ) 立場上、「れいわ新撰組」に入れようなどと言えませんし、書けませんので、本日は政治経済の教員的に選挙という政治システムを解説します。 参議院選挙のポイント ①2016年(前回の参院選)から合区が実施された。 「鳥取県と島根県」、「徳島県と高知県」が一緒になり、参議院選挙の大きな取り決めの一つである、「都道府県選挙区」の前提が崩れた。この大きな理由は、一票の格差だそうだ。これをやらないと一票の格差が3倍を超えてしまうらしい。 ➁今回の選挙では、「特定枠」が実施される。これは、参院選挙の「非拘束名簿式」を少しだけいじくり「拘束名簿式」の穂先だけ取り入れようとするものである。「非拘束名簿」とは、拘束名簿式であった比例代表制の最大の欠点である、「人物に投票することが出来ない」方式を改め、政党枠で当選数が決まった後で、人物票の数でその比例枠内の当選者を決める制度である。今回の特定枠導入は、この選挙の大前提である「人物票」を無視した制度設計であり、到底「公正な選挙」といえるものではない。 選挙の理念とは、 ①公正さ もちろん公正な選挙が一番ふさわしい。選ばれる者も選ぶ者も、不正に当選者をだしてはいけない。今回の「特定枠」選挙では、選挙する方は「人物と政党」で選ぶのであるが、選挙される方は、「他人の力で当選してしまう」状況が作られてしまう。 ➁数学的ただしさ 公正な選挙とほぼ同義語ではあるが、数学的に公正ではない場合は、選挙の平等性に欠ける。 もちろん、一番正しい選挙は、「小選挙区制」である。小選挙区とは、当選者1名を選ぶ選挙であるのだから、一番強い候補者だけが当選できる。よく考えれば、日本の首長選挙(県知事や市長など)や大統領選挙も「小選挙区制」である。 ところが、この小選挙区制度を、議会選挙に持ち込もうとすると、これまた数々の数学的矛盾が生じてしまう。・死票が多くなる・政党の支持率と議席数が一致しない・少数意見が無視される・一票の格差が生じる など、 だからこそ、日本の選挙制度は「小選挙区」と「比例代表選挙」のミックスとなっているのだ。 ところが、ここで日本人は参議院選挙における大きな制度上の誤りに関して理解していない。 この制度上の誤りにさらに誤りを重ねたのが「合区」であり、その上にさらに誤りを三重に重ねたのが「特定枠」なのだ。 これは、通称「一票の格差」というワードの認識が完全にあやまりであることはら始まっている。しかも、この誤りに最高裁判所も気づいていないのか?もしくは気づいていても知らんぷりをしているかどちらかであって、よく考えれば誰にでも分かることである。 「一票の格差」とは何か? もちろん、選挙区の有権者数とその選挙区から選挙区から選出される当選者の数との関係である。 たとえば、有権者数500万人の所から1名選ぶ選挙区と、有権者100万人の所から1名選ぶ選挙区の場合、その格差は5倍であると計算される。 問題はここからだ、では、この5倍の格差をなくすためにはどうすればよいだろうか? こんな問いは、高校生にでもすぐ分かる。 有権者500万人のところからは、5人出せば格差がなくなる。当たり前だ。平等な議会選挙であるならば、有権者100万から1名選ぶならば、同じように有権者500万人ならば5名が必要である。 次に、有権者500万のところから、5名を出すにはそうすればいいだろうか、これには方法が2つある。一つ目は、選挙区を5等分する方法だ。ならばそれぞれ、有権者100万から1名選出することになり、数学的にも公平になる。 もう一つは、有権者500万人のところは、定員を5名にすればいい。そうすれば、一見、公平に見える。 ところがところが、有権者500万人の選挙区の定員を5名にする方法は、数学的に大きな誤りである。 ここで、もう一度、「一票の価値」という言葉に注目してもらいたい。今まで見てきた言葉は、「一票の格差」である。これらの言葉を正確に表すと、「一票の格差」とは「一票の価値の格差」であり、有権者500万人の所に在住する有権者の一人の「一票の価値」は、1/500万である。反対に、有権者100万の選挙区に在住する者の「一票の価値」は1/100万である。ここが5倍の違いなのだ。 したがって、有権者500万人の選挙区で定員を5名にしたところで、一人一票で選挙を行う限り、「一票の価値の格差」は5倍であって変化はない。 この理屈を、国会も最高裁も全く理解してくれない。 本来ならば、定員を5名とするならば、一人5票の投票権がないと数学的に公正とは言えないのである。 これは、日本人ならすでに小学校レベルで経験的に理解しているはずである。例えば、1学級40人のクラスで学級委員を2名決めようとする場合、一人1票で投票(クラス委員の場合は、目をつぶって挙手するなんてパターンだったように思われる)し、上位2名を学級委員とするパターンと、一人2票でふさわしい人を2人選ぶ場合では、40人のクラス内選挙であっても、大きな差が生まれるのだ。・・・・多くの場合、一人1票で投票し、その上位2名を選ぶと、2位で当選した生徒は、案外(一部の生徒から)嫌われている者が当選してしまうケースがある。・・・・ したがって、日本の参議院選挙とは、すでに、「都道府県選挙区」という制度設計自体が間違いなだ。正確に言うと 「定員が複数であるのに、一人一票で争う選挙は数学的に誤り」なのである。 今の参議院挙の現状であるならば、東京都選挙区が定員6名を一人一票で争い、隣の山梨県選挙区が定員1名を、一人一票で争っていることなど、数学的には言語道断な「一票の格差6倍」の超憲法違反の選挙制度なのである。 ワタシのブログを読みにくる生意気な高校生諸君、そして、毎日読みに来る「本当の有権者」である1000名の皆さん、選挙を考えるとは、こういう考え方をいうのです。目から鱗でしょ。
by tommyjhon
| 2019-07-20 05:09
| 現代社会の授業
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Comments(1)
Commented
by
SuzukaKure2006 at 2019-07-20 08:10
“一票の格差”や“一票の価値”,“一人一票で争う選挙の意味”について,世の中では十分に理解されていないようですね:-( そうした根本的なトコロから理解し,選挙について考えていけば,今とは違った,もっと有意義で,未来にきちんとつながる,素晴らしい選挙が実現できると想います<3
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