学問の系譜 |
世界基準の学問の体系
3年生の皆さんは当たり前のように、文系と理系に分かれて勉強しています。1年生は、2学期には文理選択という大きな岐路が待っています。でも、この文理&理系という分類は、日本独特のもので決して世界標準ではありません。一度、世界基準の学問体系を紹介しておくべきだと感じましたので。この機会を使います。
「神学Theology」「数学Mathematics」「哲学Philosophy」これら3つは、古代以来、人類が取り組んできた「学」です。一番崇高なものです。もちろん、「数学」が、後に科学が発展する土台となります。
「学問」とは、この世界の事実や真実について、知り得る限りの「組み立てられた知識organizedknowledge」のことで、そのために合理的な事実(facts)への接近の方法(method)を探し出したり、論理(logic)と証明(testify)によって組み立てられたり、「cause and result」原因・結果の因果証明を必要したりすることです。したがって、「学問」=「科学」scienceなのです。「科学」の“科”は、“しな”と読み、段階とか部門という意味になりますので、「科学」とはある分野の学問となるのです。
ルネッサンス以降、ヨーロッパ諸国において「科学」が、特に自然科学(Natural science)が大発展を遂げてきました。それが、物理学(Physics)・生物学(Biology)・化学(Chemistry)・医学(Medical science,)天文学(Astronomy)です。
これに対抗する形で、アメリカを中心に発展したのが、「社会科学(Socialscience)」で、1950年代には、特に「行動科学(behavioral science)」が大躍進を遂げました。つまり、人間の政治や行動も、ハツカネズミが食物を食べる行動と同じく、すべて考え尽くすことができるとするはずだ。と考える思想です。この社会科学には、理論経済学(Economics)・社会学(Sosiology)・政治学(Politics)・心理学(Psychology)・言語学(Linguistics)が含まれます。
これらの科学を使って世の中の発展につなげて行こうとするのが、応用科学(applied science)、つまり実学となり、工学(Technology)・機械工学(Engineering) 農学(agricultural science)と分野を広げていきます。当たり前ですが、理系の学部・学科においては、この部分が研究範囲も幅広く、募集定員も多くなります。
この中に分類されないカテゴリ-に、一般教養学(liberalarts)=人文学(Humanities)があります。これらは、「人間が歴史的に積み重ねてきた、過去の文明遺産についての調査研究」のことです。大学の“人文学部”の意味がわかりますか、簡単にいうと“先人達の知恵”の研究です。国文科も英文科も、この範疇に入り、偉大なる先人の知恵を肌で学んでいきます。
その他に、文化系の実学(実践理論)として、法学、経営学、会計学(いわゆる簿記)がありますが、これらは、現実の人間世界(俗世間)での「技術」のことです。ですから、「学問(科学)」突き詰めて学ぶ大学院とは違い、法科大学院も経営学の大学院も、スクール(School)という呼び名を用いるのです。ロースクール、ビジネススクールとなります。
学部や学科の名称で、一番わかりにくいのが、国際関係学部です。そもそも、国際関係学という学問分野はありません。専門分野として国際法や国際経済・外国語学がありますが、これらは法学部、経済学部、外国語学部で学びます。一般に国際関係学部で行われているのは、「地域研究(regional research、Area studies)」(その国研究の専門家の元で自分のテーマを研究すること)なのです。
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