思想の時代(現代政治を高校の先生風に・・・) |
ということで、相変わらずの政治情勢は続く。安倍晋三は、誰が何といおうとも「安保関連法」を国会で通過させるつもりだ。
もはや、国民への「ご説明」も国会での「審議」もこれ以上の発展はしそうにない。今後は、アメリカとの約束を守るためだけに「強行採決」をするだろう。
なんと言っても、安倍晋三は4/29にアメリカ議会で大きく見得を切ってしまったのだ。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/na/na1/us/page4_001149.html
<一部貼り付け>
そのためにこそ、日米同盟を強くしなくてはなりません。私達には、その責任があります。
日本はいま、安保法制の充実に取り組んでいます。実現のあかつき、日本は、危機の程度に応じ、切れ目のない対応が、はるかによくできるようになります。
この法整備によって、自衛隊と米軍の協力関係は強化され、日米同盟は、より一層堅固になります。それは地域の平和のため、確かな抑止力をもたらすでしょう。
戦後、初めての大改革です。この夏までに、成就させます。
ここで皆様にご報告したいことがあります。一昨日、ケリー国務長官、カーター国防長官は、私たちの岸田外相、中谷防衛相と会って、協議をしました。
いま申し上げた法整備を前提として、日米がそのもてる力をよく合わせられるようにする仕組みができました。一層確実な平和を築くのに必要な枠組みです。
それこそが、日米防衛協力の新しいガイドラインにほかなりません。昨日、オバマ大統領と私は、その意義について、互いに認め合いました。皆様、私たちは、真に歴史的な文書に、合意をしたのです。
<貼り付け終わり>
安倍首相側からいえば、「もう約束してしまったから後には引けない」のです。これが日本とアメリカの日米同盟の現実=つまり「宗主国&属国」であることなのです。アメリカと約束したら、絶対それは守らなければならないのです。
ああ、悲しいかなニッポン。
ワタシは、政治的・経済的に、まったく影響力のない、一市井の高校教員です。だだから、政治学者や経済学者のような精密な研究はできません。ただし、日頃生徒に教えるような、基礎・基本に乗っ取って理解する(理解させる)ことは出来ます。
例えば、科学的な思考法に「演繹法」と「帰納法」というのがあります。演繹法というのは、デカルトからの系譜をひく手法で、「一つの大きな真実から、発展的に思考を組み立てること」です。大人の人もデカルトの“われ思う、故にわれあり”はよくご存じのはず。
「帰納法」というのは、様々な例証を考えられる限りあげて、そこに大きな共通点を、真実として見いだすものです。
この「帰納法」を用いて、日本の戦後史を考えてみると。このような“真実”が普通にわかります。
「戦後、安定的に政権を長く維持した総理大臣は、アメリカとの属国関係を強化した」
という、結論です。
戦後、突出して長期政権を維持した総理は、吉田茂・佐藤栄作・中曽根康弘・小泉純一郎の4人です。(すべて5年以上総理をやっている)
吉田茂→
「サンフランシスコ講和条約・日米安保条約」を調印して米軍の独立後の駐留を認めた。
佐藤栄作→
「沖縄返還を達成したが、そこに核持ち込みの密約を結んだ」
中曽根康弘→
「プラザ合意で、アメリカの双子の赤字を強引に解消させた」
小泉純一郎→
「9.11テロ後のアフガン侵攻、2003年のイラク侵攻に、全面協力した」
いかがですか? わかりやすく戦後史をまとまられます。
その代わり、アメリカの意向に反する政治家は絶対に潰されます。
石橋湛山(一応、みずからの病気のためとなっている)
田中角栄(ロッキード事件という憲法違反もはだはだしい裁判で事実上抹殺された)
鳩山由起夫(沖縄基地移転で潰された)
ほらね、
さて、もう一つ。高校生でも、日本の属国関係が理解できる問題。
政治思想には、左翼(的)思想と右翼(的)思想があります。
普通、左翼思想というと、マルクス主義と思ってしまいますが、フランス革命の時にも左翼思想はありましたし、現在のアメリカ政治にも“リベラリスト”という名で存在しますので、
左翼思想=マルクス主義ではありません。
左翼思想は、「世の中をみずからの手で理想的な国家に変えて見せましょう」という思想です。だからマルクス主義を左翼思想というのです。アメリカの民主党は、あきらかに左翼思想でして、「アメリカで作り上げた民主主義を世界中に広めましょう」という思想です。だから、民主主義の為には戦争も辞さないのです。オバマは民主党でありながら、逆に“アメリカが戦争をこすことはしない”いう大仕事をやりきった人物です(だからノーベル平和賞)。
それに対抗するのが右翼思想ですから、「世の中はそれほど変わらない。変えてはいけない」という思想です。右翼の大立て者はエドマンドバークです。だから、右翼のことをナショナリストというのです。つまり、伝統と現在を大事にする。「天皇陛下万歳!」という看板をつけて走っている右翼の宣伝車をみかけませんか?
だから、本当の日本の右翼思想というのは、「日本の独立」であるはずです。そもそも日本は島国ですから、島国として、海洋国家として生きてきました。日本という国が出来(日本という名称が使われた)、天皇という言葉が使われたのは、ともに、白村江(663年、天智天皇)の戦いの後です。それから、あの秀吉の妄想(暴走)を除けば、1200年もの間、島国で過ごしていたのです。
ならば、日本の右翼思想の基本は、アメリカからの独立となるはずなのですが、日本のエセ右翼(本物の右翼わずかにいる)は、靖国神社の英霊を信仰するようにみせながら、現在のアメリカとの属国関係を強化しようとしています。これは、明らかに思想の倒錯です。
だから、アベシンゾウを取り巻く「日本会議」(右翼なのに、アメリカべったりの不思議集団)を、世界は“カルト集団”と見なすのです。つまり、思想的によくわからないのです。
したがって、世界の知識人から日本の政治家も言論人も、ナメめられているのです。あなた方は、右翼なのですか?それともカルトですか?
本当の右翼主義者ならば、自分の国は自分で守ることが一番正しいはずです。
本当の右翼主義者ならば、「我が国を戦争で痛めつけた奴に、必ず仕返しをしてやる」と思うのが本当の思想です。
70年前、Dマッカーサーのもとで日本国憲法を作り上げたのは、アメリカのリベラリスト将校たちでした。日本を理想的な国家に作り替えようとしたのです。そして、右翼主義の台頭を心から恐れていました。したがって、「日本を絶対に仕返しの出来ない国」にしました。それが憲法9条です。
昨日、某S水東高校1年生「現代社会」期末テストを作り上げました。様々な制約でどうしても穴埋め問題などのクラシカルなテストを脱することはできません。しかし、ワタシがつくる「現代社会」のテストには、このような、思想や思考に関する「社会的影響がほとんどない一介の教師の身分で、一番自分にふさわしい、ささやかな抵抗」を“仕事上問題を起こさない範囲で”しているつもりです。
でも、・・・・・・社会的影響力のあるすべてに負けてしまうのですな。