2014年 10月 23日
国際経済という授業 |
全国の毒舌ファンの皆様 おはようございます。 Tommy先生です。
ということで、エスパルスも勝ったし、ボクシングの山中も勝ったので、久々に気分爽快な朝です。
ところが、3年生の政治経済の授業が、「ウン国際経済」に突入し、苦しんでいる。この分野に関しては、少しずつ自分なりの発見が1年に一カ所くらいあってだんだん自分なりに理解してきたが、それでも、完全な理解にはほど遠い。そもそも、一介の高校の先生くらいの身分では、判らないことだらけである。
興味津々の生徒には本当に申し訳ないことだが、私たち教員の中で、この分野をどのように教えれば生徒に理解されるのか?を話し合ったことは一回もない。ワタシは、政治経済を約30年以上教えているので、これこれこのように教えます、と説明はできるのだが、若い先生に、どうやって教えるのですか?と質問されたことも一度もない(その場面場面ではあるが、系統立てての展開を聞かれたこともない)
だから、本当に正しいことを教えているのかは、常に不安だ。
そもそも、日本国民が「経済システム」や「国際経済システム」についてどれくらい理解しているのかも不安である。もしかしてほとんどの国民は判っていないのかもしれない。
それは、学校でしっかり教えていないからだろう!!!!! と怒られるかもしれないが、現在の政治情勢・経済情勢で、「どこをしっかり教えるのか?」も実はわからない。
ここ数年で、一番強調して授業展開しているのは、「外貨準備高」である。おそらく、普通に「政治経済」を扱うのならば、これは「国際収支」の範囲に含まれれる。
国際収支とは、経常収支とか貿易収支とか、資本収支とかであって、この国際収支に関して一番重要な知見は“理論上プラスマイナスゼロになる”という考え方だ。でも、日本の新聞記事などを見ても、「理論上プラスマイナスゼロになること」を理解している記者はいないようにも思える。みんな、貿易収支が赤字だ!!!!とひぃいひいいぎゃあぎゃあ騒いでいるが、今一番稼いでいるのは“所得収支”であることを誰もしらないらしい。また、貿易収支を含む経常収支が赤字になると、必ず資本収支が黒字になるここともほとんど理解されていない。・・・・貿易収支が黒字だからといって日本がお金持ちになる仕組みではないのだよ。
この国際収支の中の一項目に、外貨準備高というのがあるが、この外貨準備高に関してはどのジャーナリズムも意図的に言及を避けているように思える。もちろん、教科書にはほとんど載っていないし、載っていたとしても、通り一遍の説明しかされていない。ワタシには、「避けている」としか思えない項目だ。
10年くらい前に初めて知ったことだが(情けないことに)、この外貨準備という「お金」は、固定相場制の場合と、変動相場制の場合で、大きく意味が違うものである。
固定相場制の場合は、民間銀行と民間企業との取引の中で、大きく「ドルが足りない」とか「円が足りない」という現象が発生する。その場合に困らないようにするために、日本銀行が、文字通り“準備”しておくのが外貨準備である。その時は、貿易収支が赤字であると、外貨準備がなくなり、自動的に輸入が減少することになる。(これを国際収支の天井と、日本史では習う)
ところが、変動相場制の外国為替市場というのは、基本的に「外貨の過不足をレートの変化で、自動調節」するものである。
この定義も、日本人にはなかなか理解されてないは、「市場」である限り自動調節機能が働くのだ。したがって、変動相場制においては、理論上、外貨準備は存在しない!!!!!!!はずである。(これが、国際経済を理解するうえでの最大のポイントである)
しかししかし、日本は現在1300兆円(円換算、普通はドルで所持)もの外貨準備がある。そしてもっと凄いのが中国であって日本の3倍くらいの外貨準備になっている。
なぜ、理論上存在しないはずの外貨準備が、日本においてこんなに凄い金額であるかというと、日銀(財務省も含む)が、外国為替市場にどんどんバンバン介入して(ドルを買いまくって)、円安誘導しているからに他ならない。
また、中国は、事実上の固定相場制をとっていて、完全な輸出超過であるから、自動的に外貨が貯まる。
そして、両国ともこの「外貨準備」をもちろん自国の箪笥に貯金しているわけではない。日本でドルを貯めても無意味なので、せっせとアメリカで運用している(アメリカの国債を買っている)。中国も同じことで、アメリカの国債を買っている。
外国為替市場という“市場”というものは、「神の見えざる手」によって動かされるものであり、そこには、自然法則が成り立つものである。(神と自然とは同義である。これは高校の倫理で教える、なかなか理解されないけど)その自然法則とは、
「輸入超過」であると、その国の通貨は安くなる。という法則である。
世界中で、約50年もの長きにわたって「輸入超過」を続けているアメリカ合衆国のドルは、安くなるのが自然法則なのである。この自然法則に逆らう形で、「バンバンドル買い」して、外貨準備を積み上げてきたのが、日本という国だ。「円安」という傾向は、自然法則ではなく、人為的な行為である。 こういうことを日本人は理解しているのだろうか?
中国は中国でひどい。資本主義とは、自然法則で成り立つ経済体制である。(自然法則に逆らった社会主義は崩壊したでしょう)。ならば、人民元の相場も自然法則に任すべきである。
よく、中国の経済躍進の原因を、鄧小平以降の改革開放路線におく人が多いが、鄧小平以降の中国は、露骨な、「人民元安」の通貨体制を敷いてきた。今も、世界の経済情勢からみると、「露骨な人民元安」である。だからもうかるのである。しかしながら、中国脅威論を煽り立てる日本人の中で、「中国は、資本主義の自然法則に基づいて変動相場制に移行しろ」という人もいない。不思議だ。
ああ、どうしましょう。この国際経済というテーマ?
ということで、エスパルスも勝ったし、ボクシングの山中も勝ったので、久々に気分爽快な朝です。
ところが、3年生の政治経済の授業が、「ウン国際経済」に突入し、苦しんでいる。この分野に関しては、少しずつ自分なりの発見が1年に一カ所くらいあってだんだん自分なりに理解してきたが、それでも、完全な理解にはほど遠い。そもそも、一介の高校の先生くらいの身分では、判らないことだらけである。
興味津々の生徒には本当に申し訳ないことだが、私たち教員の中で、この分野をどのように教えれば生徒に理解されるのか?を話し合ったことは一回もない。ワタシは、政治経済を約30年以上教えているので、これこれこのように教えます、と説明はできるのだが、若い先生に、どうやって教えるのですか?と質問されたことも一度もない(その場面場面ではあるが、系統立てての展開を聞かれたこともない)
だから、本当に正しいことを教えているのかは、常に不安だ。
そもそも、日本国民が「経済システム」や「国際経済システム」についてどれくらい理解しているのかも不安である。もしかしてほとんどの国民は判っていないのかもしれない。
それは、学校でしっかり教えていないからだろう!!!!! と怒られるかもしれないが、現在の政治情勢・経済情勢で、「どこをしっかり教えるのか?」も実はわからない。
ここ数年で、一番強調して授業展開しているのは、「外貨準備高」である。おそらく、普通に「政治経済」を扱うのならば、これは「国際収支」の範囲に含まれれる。
国際収支とは、経常収支とか貿易収支とか、資本収支とかであって、この国際収支に関して一番重要な知見は“理論上プラスマイナスゼロになる”という考え方だ。でも、日本の新聞記事などを見ても、「理論上プラスマイナスゼロになること」を理解している記者はいないようにも思える。みんな、貿易収支が赤字だ!!!!とひぃいひいいぎゃあぎゃあ騒いでいるが、今一番稼いでいるのは“所得収支”であることを誰もしらないらしい。また、貿易収支を含む経常収支が赤字になると、必ず資本収支が黒字になるここともほとんど理解されていない。・・・・貿易収支が黒字だからといって日本がお金持ちになる仕組みではないのだよ。
この国際収支の中の一項目に、外貨準備高というのがあるが、この外貨準備高に関してはどのジャーナリズムも意図的に言及を避けているように思える。もちろん、教科書にはほとんど載っていないし、載っていたとしても、通り一遍の説明しかされていない。ワタシには、「避けている」としか思えない項目だ。
10年くらい前に初めて知ったことだが(情けないことに)、この外貨準備という「お金」は、固定相場制の場合と、変動相場制の場合で、大きく意味が違うものである。
固定相場制の場合は、民間銀行と民間企業との取引の中で、大きく「ドルが足りない」とか「円が足りない」という現象が発生する。その場合に困らないようにするために、日本銀行が、文字通り“準備”しておくのが外貨準備である。その時は、貿易収支が赤字であると、外貨準備がなくなり、自動的に輸入が減少することになる。(これを国際収支の天井と、日本史では習う)
ところが、変動相場制の外国為替市場というのは、基本的に「外貨の過不足をレートの変化で、自動調節」するものである。
この定義も、日本人にはなかなか理解されてないは、「市場」である限り自動調節機能が働くのだ。したがって、変動相場制においては、理論上、外貨準備は存在しない!!!!!!!はずである。(これが、国際経済を理解するうえでの最大のポイントである)
しかししかし、日本は現在1300兆円(円換算、普通はドルで所持)もの外貨準備がある。そしてもっと凄いのが中国であって日本の3倍くらいの外貨準備になっている。
なぜ、理論上存在しないはずの外貨準備が、日本においてこんなに凄い金額であるかというと、日銀(財務省も含む)が、外国為替市場にどんどんバンバン介入して(ドルを買いまくって)、円安誘導しているからに他ならない。
また、中国は、事実上の固定相場制をとっていて、完全な輸出超過であるから、自動的に外貨が貯まる。
そして、両国ともこの「外貨準備」をもちろん自国の箪笥に貯金しているわけではない。日本でドルを貯めても無意味なので、せっせとアメリカで運用している(アメリカの国債を買っている)。中国も同じことで、アメリカの国債を買っている。
外国為替市場という“市場”というものは、「神の見えざる手」によって動かされるものであり、そこには、自然法則が成り立つものである。(神と自然とは同義である。これは高校の倫理で教える、なかなか理解されないけど)その自然法則とは、
「輸入超過」であると、その国の通貨は安くなる。という法則である。
世界中で、約50年もの長きにわたって「輸入超過」を続けているアメリカ合衆国のドルは、安くなるのが自然法則なのである。この自然法則に逆らう形で、「バンバンドル買い」して、外貨準備を積み上げてきたのが、日本という国だ。「円安」という傾向は、自然法則ではなく、人為的な行為である。 こういうことを日本人は理解しているのだろうか?
中国は中国でひどい。資本主義とは、自然法則で成り立つ経済体制である。(自然法則に逆らった社会主義は崩壊したでしょう)。ならば、人民元の相場も自然法則に任すべきである。
よく、中国の経済躍進の原因を、鄧小平以降の改革開放路線におく人が多いが、鄧小平以降の中国は、露骨な、「人民元安」の通貨体制を敷いてきた。今も、世界の経済情勢からみると、「露骨な人民元安」である。だからもうかるのである。しかしながら、中国脅威論を煽り立てる日本人の中で、「中国は、資本主義の自然法則に基づいて変動相場制に移行しろ」という人もいない。不思議だ。
ああ、どうしましょう。この国際経済というテーマ?
by tommyjhon
| 2014-10-23 06:25
| 現代社会の授業
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