選挙とは何か? |
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2015年 11月 20日
全国の毒舌ファンの皆さま おはようございます。 Tommyセンセです。 昨日のブログ内容、早速反響がありました。読者の皆さま 勇気を出してメールください。損はさせません。 ということで、パリのテロ事件とは何の関係もなく、政治の勉強。 このごろ、共産党の志位院長の立場がクローズアップされてきた。例えば 共産党の志位和夫委員長は13日、文化放送のラジオ番組で同党が提唱している野党連立政権「国民連合政府」構想に関し、「民主党の岡田克也代表は『政権をともにするのはハードルが高い』と言うが、ハードルは壁ではない。乗り越えればいい」と語り、連携に意欲を示した。安全保障関連法の廃止を目的とした同構想は「国民みんなが願っている方向だ」と強調した。 と、何かを言えば必ずニュースになる。 この志位委員長を含めて、野党側の再編だとか、新党だとか、共闘だとか、の話でうるさい。しかしながら、これら政治部門を配信する記者を含めて、日本人の大人達が、政党政治と選挙制度のことをしっかり理解しているかは、かなり疑わしいのだ。 実際、高校で教えていて、「政党政治」も「選挙制度」もほぼ1時間ずつしかやらない。これらを大学で専門に勉強した大人など、わずか数パーセントだろう。だから、日本全体でほとんど、「選挙とは何か」を理解している人間はいない。 現在、衆議院では小選挙区と比例代表制度が並立している。参議院も都道府県選挙区と比例代表制度で選挙が行われる。比例代表制とは、「得票数と政党の議席数を一致させる制度」であって、数学的には一番正しい選挙制度である。 しかしながら、多数の国民の意見を政党に集約したといえども、少数政党の乱立を防ぐことが出来ない制度である。 自民党の御用政治学者たちは、野党がゴタゴタすると「野合」とかなんとかで、野党批判を口にするが比例代表制を衆参両議院で取り入れている限り、数多くの政党が出現するのは必然のことである。 また、衆議院では小選挙区制度で300議席を選出する。憲法で衆議院が優越していると定められているので、日本の政治主導は、この300議席をどの政党が奪取するかでほぼ決まる。ここ2回の選挙は、「作られた安倍人気」によって自民党が勝利した。 ただし、この小選挙区制の「小」とはsmall(小さい)のではなくて、「単」singleの意味である。もうこの時点で日本人の80%が誤解している。本来ならば「単選挙区」とした方が日本語としては正しい。 だから、小選挙区の利点として、「選挙区が小さくなるから金がかからない」というのはとんでもない誤解である。選挙区が小さくなると、政党は多くの候補者を出さなくてはならないのだから、選挙に関する候補者の個人支出は減るが、選挙にかかる日本全体の費用は同じだ。 それよりもそれよりも、 小選挙区制は欠陥が多い選挙制度である。数学的には最低の選挙制度でもある。 1)コンドルセのパラドックスが起きる 「コンドルセのパラドックス」とは、“一番嫌われている人が当選する場合が数多くある”という逆説のことだ。ワタシは授業でみっちり90分間ぐらい教えるが、日本の社会科の先生でも、知らない人は何もしらない。 2)政党支持率と議席数に大きな乖離が起きる。 これは、最近の衆議院選挙結果をみればわかるだろう。決して自民党が、現在の議席数ほど支持されているわけではない。支持率は40%程度であっても、議席数は6割に達することなど小選挙区制では普通のことである。 3)死票が多い、 これは、中学生でも勉強するので割愛 1)2)3)は小選挙区制では絶対避けて通れない必然の現象である。 ところが、イギリスではこの“欠陥だらけ選挙制度”をやめようとしない。アメリカの下院も同じくこの制度をやめようとしない。イギリスにライバル意識を燃やすヨーロッパ大陸諸国では、早くくから“欠陥だらけの”小選挙区をやめ、“数学的には一番正しい”比例代表選挙に変更しているが、 日本人が民主主義のお手本としているイギリスにおいて、いつまでも小選挙区制度にこだわる理由は何であろう? それは、“僅かな変化でも”政権交代が可能だからである。 これは、小選挙区制度のもとでは2大政党制が作られやすいことと、与野党逆転が一番起きやすい選挙制度であるという2つの利点がから生まれる。 民主主義の最大の敵は、「独裁」である。王であれ大統領であれ、独裁者からどのようにして政権を奪うことができるか? この問のために多くの名もない人々が命を落としてきた。 そこで、考え出されたのが、 「合法的に政権を交代させる制度」である、選挙制度の仕組みだ。 したがって、「選挙」というのは、含まれている漢字に示されるような、「選ぶ」ものではない。確かに、2期終了後のアメリカ大統領選挙のように選ぶだけの場合もあるが、基本的に選挙は「落とす」ものである。 もっと端的にいうと、「合法的に引きずり下ろす」ための国民の道具である。歴史的にいうと、「多くの血が流された革命に代わるもの」である。 特に、小選挙区ではこの理論があてはまる。 最初に、共産党の志位院長をとりあげたが、日本の共産党の中で、とうとう初めて、「選挙とは引きずりおろすもの」という基本概念を理解し、構想を立ち上げた人物なのである。 今の政権与党がダメならば、一度引きずりおろすべきなのである。 今、民主党がだらしないのは、岡田も細野君も前原も、「引きずりおろす」ことを目的としていないからである。 次回は、共産党の「国民連合構想」と「参議院選挙」に関して書きます。
by tommyjhon
| 2015-11-20 06:13
| 現代社会の授業
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