Tommy先生の戦争論 |
ということで、天皇陛下がパラオをご訪問された。ご高齢のお体で1泊2日の強行日程をものともせずに行かれたということに、天皇陛下の強い意志を感じられる。
日本の、本当の本物の歴史をただ一人知っている人物として、南太平洋で戦死した方々の慰霊をすることは一生のうちでどうしても実現しておきたいことだと拝察申し上げます。(慣れない敬語を使って書くのは大変じゃ)
そもそも、南太平洋で戦死された日本人の方々はすべて“犬死”である。完璧に無駄な戦争であった。もちろん、沖縄戦で犠牲になられた方々同様である。
日本は、80年くらい前から本当に馬鹿げた戦争をしていた。
もちろん、戦争(殺し合い)に良い戦争も悪い戦争もないが、百歩譲って「その国の国益を守るため」もしくは、「子孫に莫大な利益を与えるため」ならば、意義も少しはある。
だから、よくよく考えると、“戦争”の話ばかり教える世界史や日本史でも、「●●における権益確保のために」というのが戦争の口実だ。ワタシは今年久し振りに日本史を教えるが、貴族や武士達(リーダーのこと)が一番の目標としていたのは、「本領安堵」である。つまり、自分たちの権益を守ることである。リーダー達は、自分の配下のものを喰わせてあげなければなない。
だから、明治の世になって日本が欧数列強(Powersの訳語)に習って朝鮮半島や中国大陸に進出したのは、「喰わせる為」という口実がそれでもあった。日本は一気に「人口過剰」「生産過剰」の時代に突入したのだから、「仕方がなったのだ」ともいえる。
しかししかし、どう考えてもパラオ諸島をはじめとする南太平洋に軍隊を展開したのは全く意味のない愚劣な戦いである。
ほとんど資源もなにもない太平洋の島々に貴重な戦力を展開して何の意味があるのだろうか?
このバカバカしい戦略の発端は、もちろんハワイの真珠湾攻撃にはじまる。地政学的(軍事学ともいう)にも全く意味のない戦法であって、戦争で唯一勝利する方法は漸進にじわじわと領土を広げる他にないことは、普通に世界史を勉強すればわかる。もし当時のアメリカと戦って勝利したいのなら、一気にワシントンなりNYを占領しない限り勝てないのである。(たとえばチンギスハーンのように)、圧倒的な軍事力を誇る相手を“刺激する”だけの作戦だったのが真珠湾攻撃なのである。
今から75年前、日本が戦争で勝てる唯一のシナリオは、当時三国軍事同盟を締結していたドイツやイタリアの手を組んで戦うことであった。
日本人は巧妙に教えられていないが、三国軍事同盟を締結していたこの3国は、共同戦線を構成したことが一度もない。本当にこの三国が共同戦線を作り上げたら勝ったかも知れないのである。そしてその可能性は、あった。
当時ドイツ・イタリアは西アジア・北アフリカを目指していた(アフリカ戦線という)。目的は、当然“世界最大の油田地帯”の確保だ。そして、日本はアメリカへの戦線布告と同時にイギリスにも宣戦布告し、シンガポールを一気に陥落させた。ここで、戦う相手をイギリス軍だけに絞り、日本の誇る連合艦隊をインド洋に展開していれば、そのままペルシャ湾に突入することは可能だったのである。もし、日本がインド洋やペルシャ湾で制海権・制空権を握っていれば、アフリカ戦線でのドイツ軍イタリア軍も圧倒的に有利に展開することが出来て、第二次世界大戦での勝利も夢ではなかったと思う。夢かもしれないが、ここまで犬死にするこてとはなかった。
だから、日本の歴史の中で、日本民族にとって最大の裏切り者は、真珠湾攻撃を構想し実行した山本五十六である。この山本五十六を引き立てた米内光政(あまり知られていないが、海軍による中国爆撃を画策した総理大臣)も同罪である。
しかし、戦後70年間、日本言論界は、「ヒーロー山本五十六」一色に染まり、真珠湾攻撃は「トラトラトラ」として大ヒット映画となり、戦艦大和・戦艦武蔵を要する日本海軍は、子供達のあこがれの的となり、「山本五十六賛美小説」ばかりを書いていた阿川弘之が流行作家となった。そうして知らず知らずのうちに“海軍善玉・陸軍悪玉論”が日本では通説になっていった。これに加えて、「明治の国家指導者は素晴らしい、それに対して昭和陸軍の最低である」というロジックで日本人を騙し続けた司馬遼太郎も一般国民を巧妙に騙し続けていた。
日本が侵略したことで、これも戦後政治に大きな遺恨を残すことになる。中国との関係に於いても、日本人は巧妙に真実を教えられていない。あの時、日本が満州を支配することだけに関しては列強もそれほど日本を敵視してはいなかった。そもそも「中国分割」を強引に推し進めたのは「列強」である。ところが、中国大陸において列強を大いに刺激したのは「上海事変」である。満州は日本の好きにさせるが、「上海」はダメ!!! 上海はイギリスの支配下にある。というのが列強の論理だったのである。ちなみに、上海事変の犯人は「日本海軍」である。そうやって、上海から中国大陸に進出してしまったので、南京を占領せざるをえなくなるのだ。(南京は上海の内陸にある)
とにかく日本の行く末を大きく変えたのは、上海に進出したり真珠湾を攻撃したり、南太平洋を支配したりした、日本海軍のアホは戦略なのである。ところが、日本海軍は、戦後70年、一度も断罪されることなかった。
連合国は、このアホな日本海軍を残し、日本陸軍を断罪することを目的の一つとして、東京軍事裁判をおこなったのだ。東京軍事裁判でA級戦犯になった海軍出身者は一人もいない。
とここまでの論説は、ほぼこの本によって展開した。
ワタシは、静岡県の高校教員採用試験で、尊敬する人物は? という問いに「米内光政です」と答えた。つまりワタシの22才までの思想遍歴も、完全に日本の戦後政治的言論に洗脳されていたのである。
・・・・・・正直に文章に残しておきます。