選挙制度の学習2 季節外れの参議院選挙関連 |
昨日に続いて、選挙制度のお話。
ちょうどいいタイミングで、参議院選挙定数違憲判決が、最高裁判所大法廷でなされた。
ニュース記事はこちら、
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141126/t10013499241000.html
なぜか、最高裁の判決文全部を閲覧することはできないのだが、記事を読む限り最高裁でも、参議院選挙に関しての大きな誤りには言及されていないようだ。
参議院選挙は、3年ごと半数が改選される。この時には、比例代表選挙と“選挙区選挙”が同時に行われる。一般に注目されているのは、「非拘束名簿式」と呼ばれる比例代表選挙なのだが、本当に解決しなければいけない問題は、“選挙区選挙”の方だ。
今から、この選挙区選挙において、最高裁判所でも問題にしなかった大きな誤りについて指摘する。
例えとして、当選一人の青森県と、三人当選の埼玉県で較べてみる(有権者数は事実ではない)
今の、「一票の格差」の考え方はこうだ。
青森県で、有権者数が20万人 埼玉県で有権者数が120万人だとする。
青森では1人区だから、「一票の重み」は、1/20万となる。
埼玉県では、3人区だから、「一票の重み」は3/120万となり、約分すると1/40万となる。
したがって、青森県と埼玉県の「一票の格差」は2倍となり、合憲の状態だと判断されている。
しかししかし、文中で、あへて用いた「一票の格差」と「一票の重み」との違いを考えてもらいたい。有権者にとっての平等とは、「一票の重み」の段階である。これを有権者の声と考えてもいい。青森県の有権者一人の「重み」は、1/20万である。有権者一人の大きな声は、1/20万の価値がある。
しかし、埼玉県の有権者は120万人もいる。一人が大きな声をあげたところで、それは1/120万に過ぎない。「一票の重み」は1/120万なのである。ここで、2人当選しようが3人当選しようが、有権者の声は1/120万なのだ。
だから、「一票の重み」は6倍である。
今の「一票の格差」裁判は、有権者の数と当選者数(定数)の割合で行われている。これが衆議院選挙であるならば、「小選挙区」であって、「一票の格差」=「一票の重み」なのだが、複数が当選する、【2人区以上】(これを大選挙区という)であるならば、「一票の重み」で考えなければいけない。
もったいぶって、回りくどい言い方をしたが、本当の平等選挙にするには、1名選出の場合は、一人一票、2名選出の場合は一人2票、三名選出の場合は、一人3票を投票しなければ、数学的に同じではない。
先の青森県と埼玉県の例で比較するならば、1/20万と、1/120万×6(一人6票)でやっと、一票の重みが同じになるのである。
そうして昨日の問題に戻るのだが、そもそも、「選挙区から1名選出する」のを小選挙区といい、「選挙区から2名以上選出する」のが大選挙区である。という定義を、参議院選挙は完全に混同しているのである。
本当ならば、最高裁判所は、ここを指摘するべきなのだ。
なぜ、日本人が理解できていないかというと、投票には「単記」と「連記」の方法があることを知らないからである。
学校でも同じだ。40人のクラスで、代表一人を選ぶときは、“一番ふさわしい人一人”を選べばよい。しかし、●●委員のように、代表2名を選ぶ時は、“代表に相応しい2名を連記”しなければ数学的におかしい。
いかがかな?
この選挙をとりしきる“官僚”の中には、このおかしさを理解している奴がいるらしく、参議院選挙は、「選挙区」と「比例代表区」というあやふな名前をわざとつけて、「1人区」と「2人区」「3人区」が混在していることをあやふやにしている。数学的には絶対に間違っているのを知っているはずだ。