2014年 09月 23日
文理選択2 |
全国の毒舌ファンの皆様 おはようございます。 Tommy先生です。
休日の朝 余裕がかるので、前回の文理選択話の続き。
さて、文理の選択で、「理系に行こう」「文系に行こう」が決まると、次は科目選択です。
英語=授業時間数も内容もほとんど変わりません。
国語=内容は変わりませんが、理系では授業数が激減します。ただし、理系の大学において「国語」を受験科目にしている大学こそ理系のトップクラスの大学です。理系では、3年生のセンター試験までで、国語の勉強はほぼ終わります。
数学=文系は、数学Ⅱ、数学Bまでで勉強し、超難解な数学Ⅲ・数学Cという発展型を勉強しません。典型的な「文系脳」からすると数Ⅲや数Cは「魔法」です。たかだか、3行しかない問題文の出題で、解答時間が30分もかかるなど、耐えられません。逆に、典型的な文系脳は、30分間かけて、3ページくらいの問題文を読み、5分くらいで解答することが多いですね。
と、ここまでは範囲こそちがうものの共通して、学ぶ科目です。
では、理科
これが今年から大きく変動しました。文系生にとって理科は、センター試験のみの受験ですので、センター試験が大幅に偏向されれば、勉強する範囲も大きく変わるわけで、文系の理科に関していえば高校をどの世代に卒業したかによって、何を勉強したが大きく違うのです。
我々50歳以上の面々は、「生物」「化学」「物理」の中から文系でも2科目勉強したはずです。共通一次とか、それ以前の国立大学入試で2科目必要だったかです。ワタシも共通一次で、「物理」と「生物」を受験しました。
現年齢45歳~19歳の人は、ほとんどが「生物1科目」だけしか真面目に勉強していないと思います。センター試験では文系理科1科目が必修だったからです。ただし、生物といえども、内容はその時々で大きく違います。生物は、世代世代によって「取り扱う分野」がかなり変化しているらしいです。ワタシは、生物といえば、「ポリプ→エフィラ→ストロビラ」という言葉を一番覚えているのですが、今の高校生は勉強しないそうです。
ところが、今年度のセンター試験から、50点満点の基礎科目を2科目受験して100満点にするという形に大変動します。
業界では「キソキソ」と言いますが、「生物」「化学」「物理」「地学」の基礎科目を2科目自由選択して受験します。理科は他分野を誰もが勉強すべきだという信念が教育課程を変え、センター試験を変えたのでしょう。勉強における「そもそも論」を棚に上げて、文系のセンター試験に関する傾向だけを考えると、今年初の「キソキソ科目」はおそろしく簡単になるはずです。おそらく、2科目の平均点は80点を超えます。センター試験は新課程は最初が一番易しいという法則が存在します。そして、年が経つほどにどんどん難化してきます。キソキソ科目は、難しい問題を作るのはたやすい科目なので、センター試験作成者は、「平均点を65点前後にせよ」という指令のもとにどんどん難しくしいき、文系生が、「理科のキソキソは勉強が大変」と音を上げるまで続くでしょう。
理系の生徒は、以前変わらず、理科は2科目です。15年くらい前に理科3科目かの動きがあったのですが。高校の授業数が足らずに霧消してしまいました。普通は、「化学」と「物理」をとります。一部の生徒は「物理」の代わりに「生物」を選択しますが、理系の学生で「生物」を選択する生徒は10%程度です。生物を選択すると「工学部」を受験することはできません。また、大学の教授陣も、高校時代は「生物」よりも、「化学」と「物理」をしっかり学習してきて欲しいと言っています。だから、理系生物選択者という集団は、「理系なのに物理をしらない不思議な人たち」となります。・・・・主に看護系、水産系、農学系の志望しかあり得ないのです。ワタシは文系ですからこの理系の構図に詳しくないですが、高校関係者として、今後は生物の先生が不要になりそうだということは危惧しています。現在、多くの進学校は、「物理3人
」「化学3人」「生物3人」で構成されていますが、この教育課程だと明らかに「生物」が余ります。学校全体だと2人でも十分のような感じですので、生物の先生は、余った分が進学校をはじき出され、センター試験などあまり関係のない職場にまわされるでしょう。
最後に専門の地歴公民(昔の社会)
まず最初に、今の教育課程には、2単位もの(世界史Aとか日本史Aとか、地理Aとか、と公民の「政経」「倫理」「現「現代社会」)と4単位もの、(世界史B・日本史B・地理B・そして、「倫理・政経」)が存在します。一般にA科目とは、教養的な科目でB科目が専門的科目です。
センター試験には立派にA科目が科目として存在しますが、普通の一般進学校ではA科目をセンター試験で受験することはありません。文系では、A科目受験を認めない大学が国公立大学でも私立大学でもほとんどですし、理系でも、主要国立大学はA科目受験を認めていません。
だから、文系生徒の多くが、世界史Bを必修し、日本史か地理を選択します。理系は、90%の生徒が地理を選択します。
ある先生が、「世界史」「日本史」「地理」の用語集における語彙の数を調べてみました。なんと、世界史が「8000」日本史が「12000」地理が「5000」なのだそうです。つまり、この3教科の中では、地理が「語彙数」としては一番少ない。だから、センター試験だけ必要とされる理系においては、「地理」の受験が一番たやすい。理系の諸君はよほどの「超マニア」以外地理受験でよいです。「俺は日本史が大好きだけど、先生に勧められて地理にさせられたので、地理の勉強は出来ない」というのは、完全な言い訳に過ぎません。ほとんどの理系生がそうだからです。日本にそれほど「地図が好き」「地形が好き」などという生徒はいません。これから好きになっていくのです。
文系生徒は、世界史と日本史を高校2年生で学習し3年になるとどちらか一つを選択します。(若干違う高校もあるかもしれません)。というのは、大学受験で、この歴史2科目を必修で指定している大学は東大だけだからです。東大受験生は三年生になって2科目を勉強します。ただし、東大以外は2科目ではダメかというわけではありません。センター試験では、「地歴・公民」という区分けになっていて、「地歴2科目」と「地歴公民各1科目」は同じ扱いだからです。過去に教えた某F高の例に見ますと、この日本史&世界史学習クラスは10人未満でした。その中で東大が1名、京大が1名、他は東北・名古屋・阪大・一橋大などの進学になりました。そういう風に、「日本史&世界史」受験は文系における“超エリート階層” なのです。
文系生において、なぜ地理の選択が少ないのか?という疑問は、「文系の学問」(文学・歴史・政治・経済・語学)などにおいては「地理」より、「歴史」の方がはるかに親和性が高いということです。つい最近気づいたことですが、“文学”とは、高級な歴史的メッセージのことです。だから、日本史の土壌なしでは日本文学や日本政治は語れませんし、世界史の素養がなければ、世界の文学(西洋史では音楽も)を語れません。
だから、文系生の受験は、「世界史」か「日本史」になります。
さてさて、では「世界史用語集は8000」「日本史用語集は12000」の説明に入りましょう。世界の歴史の方が、覚えるべき事はたくさんあるあずなのに、なぜ、日本史の必修語彙が12000もあるのか?
それは、日本史における「文化史」の扱いが世界史より多いからです。世界史は、古代西洋史・古代イスラム史・古代中国史、「近代化という世界発展史」そして「近代各国史」が主な分野ですが、「文学」「芸術」「宗教」に関する扱いは日本史よりはるかに少ないのです。・・・・「宗教」に関しても、日本史の方がはるかに複雑です。
しかし、日本史の中で、「文学」に関しては多くが「古典」で肩代わりしてくれていますし、「芸術」に関しては、それこそ幼稚園児代からの素養が肩代わりしています。「日本史用語集12000」のうち「4000」は文化史系(文学・芸術)です。
だから、「日本史」&「世界史」でどちらを選択するか?の主要な動機の一つに、「日本の芸術(文学を含む)」にどれだけ興味があるか否かでしょう。
また、「日本史」を教える資質の一つが、「芸術の鑑賞の干渉の仕方」を広められることができるかどうかだと思います。
今、どちらかというと「世界史」人気が「日本史」人気を上回っているのですが、それは高校生が“芸術”に関心を示さなくなったことに関係があると思われます。
さて、長くなってしまったので、ワタシの専門分野である公民に関しては、次回にしましょう。ワタシという存在は、もの凄い重要な存在であります。(理由は、数学や英語の先生は、高校内に7~8人もいるが、公民は一人である)
その「公民」とはどのような教科かというブログを次回に書きます。お楽しみに。
休日の朝 余裕がかるので、前回の文理選択話の続き。
さて、文理の選択で、「理系に行こう」「文系に行こう」が決まると、次は科目選択です。
英語=授業時間数も内容もほとんど変わりません。
国語=内容は変わりませんが、理系では授業数が激減します。ただし、理系の大学において「国語」を受験科目にしている大学こそ理系のトップクラスの大学です。理系では、3年生のセンター試験までで、国語の勉強はほぼ終わります。
数学=文系は、数学Ⅱ、数学Bまでで勉強し、超難解な数学Ⅲ・数学Cという発展型を勉強しません。典型的な「文系脳」からすると数Ⅲや数Cは「魔法」です。たかだか、3行しかない問題文の出題で、解答時間が30分もかかるなど、耐えられません。逆に、典型的な文系脳は、30分間かけて、3ページくらいの問題文を読み、5分くらいで解答することが多いですね。
と、ここまでは範囲こそちがうものの共通して、学ぶ科目です。
では、理科
これが今年から大きく変動しました。文系生にとって理科は、センター試験のみの受験ですので、センター試験が大幅に偏向されれば、勉強する範囲も大きく変わるわけで、文系の理科に関していえば高校をどの世代に卒業したかによって、何を勉強したが大きく違うのです。
我々50歳以上の面々は、「生物」「化学」「物理」の中から文系でも2科目勉強したはずです。共通一次とか、それ以前の国立大学入試で2科目必要だったかです。ワタシも共通一次で、「物理」と「生物」を受験しました。
現年齢45歳~19歳の人は、ほとんどが「生物1科目」だけしか真面目に勉強していないと思います。センター試験では文系理科1科目が必修だったからです。ただし、生物といえども、内容はその時々で大きく違います。生物は、世代世代によって「取り扱う分野」がかなり変化しているらしいです。ワタシは、生物といえば、「ポリプ→エフィラ→ストロビラ」という言葉を一番覚えているのですが、今の高校生は勉強しないそうです。
ところが、今年度のセンター試験から、50点満点の基礎科目を2科目受験して100満点にするという形に大変動します。
業界では「キソキソ」と言いますが、「生物」「化学」「物理」「地学」の基礎科目を2科目自由選択して受験します。理科は他分野を誰もが勉強すべきだという信念が教育課程を変え、センター試験を変えたのでしょう。勉強における「そもそも論」を棚に上げて、文系のセンター試験に関する傾向だけを考えると、今年初の「キソキソ科目」はおそろしく簡単になるはずです。おそらく、2科目の平均点は80点を超えます。センター試験は新課程は最初が一番易しいという法則が存在します。そして、年が経つほどにどんどん難化してきます。キソキソ科目は、難しい問題を作るのはたやすい科目なので、センター試験作成者は、「平均点を65点前後にせよ」という指令のもとにどんどん難しくしいき、文系生が、「理科のキソキソは勉強が大変」と音を上げるまで続くでしょう。
理系の生徒は、以前変わらず、理科は2科目です。15年くらい前に理科3科目かの動きがあったのですが。高校の授業数が足らずに霧消してしまいました。普通は、「化学」と「物理」をとります。一部の生徒は「物理」の代わりに「生物」を選択しますが、理系の学生で「生物」を選択する生徒は10%程度です。生物を選択すると「工学部」を受験することはできません。また、大学の教授陣も、高校時代は「生物」よりも、「化学」と「物理」をしっかり学習してきて欲しいと言っています。だから、理系生物選択者という集団は、「理系なのに物理をしらない不思議な人たち」となります。・・・・主に看護系、水産系、農学系の志望しかあり得ないのです。ワタシは文系ですからこの理系の構図に詳しくないですが、高校関係者として、今後は生物の先生が不要になりそうだということは危惧しています。現在、多くの進学校は、「物理3人
」「化学3人」「生物3人」で構成されていますが、この教育課程だと明らかに「生物」が余ります。学校全体だと2人でも十分のような感じですので、生物の先生は、余った分が進学校をはじき出され、センター試験などあまり関係のない職場にまわされるでしょう。
最後に専門の地歴公民(昔の社会)
まず最初に、今の教育課程には、2単位もの(世界史Aとか日本史Aとか、地理Aとか、と公民の「政経」「倫理」「現「現代社会」)と4単位もの、(世界史B・日本史B・地理B・そして、「倫理・政経」)が存在します。一般にA科目とは、教養的な科目でB科目が専門的科目です。
センター試験には立派にA科目が科目として存在しますが、普通の一般進学校ではA科目をセンター試験で受験することはありません。文系では、A科目受験を認めない大学が国公立大学でも私立大学でもほとんどですし、理系でも、主要国立大学はA科目受験を認めていません。
だから、文系生徒の多くが、世界史Bを必修し、日本史か地理を選択します。理系は、90%の生徒が地理を選択します。
ある先生が、「世界史」「日本史」「地理」の用語集における語彙の数を調べてみました。なんと、世界史が「8000」日本史が「12000」地理が「5000」なのだそうです。つまり、この3教科の中では、地理が「語彙数」としては一番少ない。だから、センター試験だけ必要とされる理系においては、「地理」の受験が一番たやすい。理系の諸君はよほどの「超マニア」以外地理受験でよいです。「俺は日本史が大好きだけど、先生に勧められて地理にさせられたので、地理の勉強は出来ない」というのは、完全な言い訳に過ぎません。ほとんどの理系生がそうだからです。日本にそれほど「地図が好き」「地形が好き」などという生徒はいません。これから好きになっていくのです。
文系生徒は、世界史と日本史を高校2年生で学習し3年になるとどちらか一つを選択します。(若干違う高校もあるかもしれません)。というのは、大学受験で、この歴史2科目を必修で指定している大学は東大だけだからです。東大受験生は三年生になって2科目を勉強します。ただし、東大以外は2科目ではダメかというわけではありません。センター試験では、「地歴・公民」という区分けになっていて、「地歴2科目」と「地歴公民各1科目」は同じ扱いだからです。過去に教えた某F高の例に見ますと、この日本史&世界史学習クラスは10人未満でした。その中で東大が1名、京大が1名、他は東北・名古屋・阪大・一橋大などの進学になりました。そういう風に、「日本史&世界史」受験は文系における“超エリート階層” なのです。
文系生において、なぜ地理の選択が少ないのか?という疑問は、「文系の学問」(文学・歴史・政治・経済・語学)などにおいては「地理」より、「歴史」の方がはるかに親和性が高いということです。つい最近気づいたことですが、“文学”とは、高級な歴史的メッセージのことです。だから、日本史の土壌なしでは日本文学や日本政治は語れませんし、世界史の素養がなければ、世界の文学(西洋史では音楽も)を語れません。
だから、文系生の受験は、「世界史」か「日本史」になります。
さてさて、では「世界史用語集は8000」「日本史用語集は12000」の説明に入りましょう。世界の歴史の方が、覚えるべき事はたくさんあるあずなのに、なぜ、日本史の必修語彙が12000もあるのか?
それは、日本史における「文化史」の扱いが世界史より多いからです。世界史は、古代西洋史・古代イスラム史・古代中国史、「近代化という世界発展史」そして「近代各国史」が主な分野ですが、「文学」「芸術」「宗教」に関する扱いは日本史よりはるかに少ないのです。・・・・「宗教」に関しても、日本史の方がはるかに複雑です。
しかし、日本史の中で、「文学」に関しては多くが「古典」で肩代わりしてくれていますし、「芸術」に関しては、それこそ幼稚園児代からの素養が肩代わりしています。「日本史用語集12000」のうち「4000」は文化史系(文学・芸術)です。
だから、「日本史」&「世界史」でどちらを選択するか?の主要な動機の一つに、「日本の芸術(文学を含む)」にどれだけ興味があるか否かでしょう。
また、「日本史」を教える資質の一つが、「芸術の鑑賞の干渉の仕方」を広められることができるかどうかだと思います。
今、どちらかというと「世界史」人気が「日本史」人気を上回っているのですが、それは高校生が“芸術”に関心を示さなくなったことに関係があると思われます。
さて、長くなってしまったので、ワタシの専門分野である公民に関しては、次回にしましょう。ワタシという存在は、もの凄い重要な存在であります。(理由は、数学や英語の先生は、高校内に7~8人もいるが、公民は一人である)
その「公民」とはどのような教科かというブログを次回に書きます。お楽しみに。
by tommyjhon
| 2014-09-23 07:09
| 現代社会の授業
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